Kさま(40代・男性・初婚)のご成婚を語るうえで、どうしても外せない一枚の写真があります。それは、ご両親も駆けつけ、ご夫婦とそろって笑顔で並んだ、結婚記念の写真です。Kさまは「あんなに嬉しそうな父と母の顔を見たのは、本当に久しぶりでした」と、感慨深げに話してくださいました。
Kさまは、研究開発の分野で活躍される、探究心にあふれた方です。生まれ育った土地を離れ、研究の仕事に打ち込んでこられました。物事をじっくり突き詰めて考える研究者らしい姿勢は、素晴らしい強みである一方、恋愛や結婚においては、少し慎重になりすぎる面もありました。「気づけば同世代の友人は家庭を持ち、自分だけが少し立ち止まっているような感覚があって」。面談でそう語られた言葉が、とても印象的でした。
離れて暮らすご家族のことも、Kさまの胸には常にありました。息子の結婚を、ご両親がどれほど心待ちにしているか。それを分かっているからこそ、Kさまは「なんとかしたい」という思いを抱きながらも、一歩を踏み出せずにいたのです。そんなKさまが勇気を出して当相談所を訪ねてくださったとき、私たちは全力でお支えしようと心に決めました。
国際結婚という選択に、Kさまも迷いを抱えておられました。けれど私たちは、Kさまのペースを何より尊重しました。研究者の方は、納得できないまま前に進むことを好みません。だからこそ、一つひとつの疑問に丁寧にお答えし、Kさまご自身が「これでいい」と思えるまで、じっくり伴走しました。焦らせないこと――それが、Kさまのような方にとって最良の支え方でした。
国際結婚において、ご家族の存在は、とても大きな意味を持ちます。特に、遠方に暮らすご両親にとって、離れた土地で暮らす息子の結婚は、長年の願いであると同時に、大きな安心でもあります。私たちは、Kさまが新しい家庭を築くにあたって、ご両親にもきちんと祝福していただけるよう、そのご報告の場面まで含めてお手伝いしました。二人だけで完結するのではなく、両家の理解と祝福のうえに成り立つ結婚こそ、末永く続く土台になるからです。
研究者であるKさまは、一つのことを深く掘り下げる集中力をお持ちでした。その姿勢は、実は伴侶を思いやるうえでも大きな強みになります。相手の言葉の背景を想像し、なぜそう感じるのかを丁寧に考える――Kさまは、お相手の女性の気持ちに、いつも真摯に向き合っておられました。国際結婚では、文化の違いから相手の反応が読みにくい場面もありますが、Kさまはそれを「分からない」で終わらせず、対話を通じて一つずつ理解しようと努められました。この誠実さが、お相手に深い信頼を与えたのです。
交際のなかで、私が微笑ましく思ったエピソードがあります。Kさまが、ご自身の趣味であるピアノの話をおずおずと切り出したところ、お相手が目を輝かせて聞いてくれたというのです。「自分の好きなことを、こんなに喜んで聞いてくれる人は初めてでした」。その一言に、Kさまの心が動いた瞬間が凝縮されていました。
出会われた奥さまは、穏やかで誠実な女性でした。Kさまの趣味であるピアノや野球の話にも、笑顔で耳を傾けてくれる。一緒に過ごす時間はいつも心地よく、飾らない自分でいられたといいます。交際が進むにつれ、Kさまの慎重さは確信へと変わっていきました。そして迎えたご成婚。ご両親も駆けつけてくださり、家族みんなに祝福されるなかで、新しい生活の第一歩を踏み出されたのです。
Kさまのご成婚は、結婚が二人だけのものではなく、家族みんなの喜びであることを、あらためて教えてくれます。いずれはお子さんにも恵まれ、家族が増える日を思い描きながら、お二人はあたたかな毎日を重ねていらっしゃいます。
国際結婚では、ご本人同士の相性はもちろん、ご両家がどう受けとめてくださるかも、末永い幸せを左右する大切な要素です。「外国の方をお嫁さんに迎えることを、親が心配するのではないか」――そう不安に思う男性は少なくありません。けれど、実際にお相手の誠実な人柄に触れると、多くのご両親は安心し、そして心から祝福してくださいます。Kさまのご両親も、はじめは戸惑いがあったかもしれません。それでも、お相手の温かさと、息子であるKさまの幸せそうな表情に触れ、満面の笑みで新しい門出を祝ってくださいました。
私たちは、こうしたご家族との橋渡しも、大切な仕事だと考えています。結婚は、二人が幸せになるだけでなく、二つの家族が新しくつながる出来事です。その輪のなかに、国境を越えて迎えた奥さまが、自然に溶け込んでいく。そんな光景を見るたびに、国際結婚の持つ豊かな可能性を、あらためて実感します。
慎重なあなたも、どうかご自身のペースで大丈夫です。じっくり選び取ったご縁は、家族みんなを笑顔にする力を持っています。ご両親の笑顔に包まれたKさまの門出を、心よりお祝い申し上げます。
