人と向き合う営業ひとすじの男性が、“わが家”を持つまで

Kさま(60代・男性・初婚)は、自動車販売の営業として、地元で三十年以上お客様と向き合い続けてこられた方です。人と接するお仕事を長く務めてこられただけあって、面談でお会いした第一印象は「誠実で、聞き上手」。相手の話にじっくり耳を傾け、無理に押し出さない穏やかなお人柄が、とても印象的でした。

ところが、日々たくさんの人と接してこられたKさまご自身は、こと結婚となると縁に恵まれずにいらっしゃいました。「仕事ではお客様のことばかり考えて、気づけば自分のことは後回しになっていました」。まじめに働き続けるうちに月日は流れ、「このまま独りかもしれない」と感じるようになっていた――そう静かに打ち明けてくださいました。それでも、人生を分かち合えるパートナーへの願いは、確かに胸の奥に残っていたのです。

国際結婚という選択に、Kさまも当初は戸惑いを見せておられました。言葉や文化の違いへの不安は、誰しもが最初に抱くものです。私たちがまず大切にしたのは、Kさまが営業のお仕事で培ってこられた「相手を思いやる力」を、そのまま婚活にも生かしていただくことでした。実は、人の気持ちに寄り添える方ほど、国際結婚では良いご縁に恵まれます。文化が違う相手だからこそ、相手の立場に立って考えられることが、何よりの強みになるのです。

面談を重ねるなかで、私はKさまに「お客様に接するときと同じように、飾らず、誠実に向き合ってください」とお伝えしました。営業のプロであるKさまは、相手に安心感を与える術を自然と身につけておられます。その温かさは、お相手の女性にもまっすぐ伝わりました。「この方は、こちらの話を本当に大切に聞いてくれる」――そう感じてもらえたことが、信頼の第一歩になったのです。

そうして出会われたのが、今の奥さまです。穏やかで、Kさまとの会話が自然に弾む女性でした。休日の楽しみである野球観戦や旅行の話でも意気投合し、一緒に過ごす時間はいつも和やかだったといいます。国際結婚では、条件よりも「一緒にいて心地よいか」が長続きの鍵になります。お二人は、まさにその相性に恵まれたご縁でした。

交際が実を結び、Kさまは奥さまとともに、地元の役場へ婚姻届を提出されました。長年慣れ親しんだ土地で、夫婦としての新しい一歩を踏み出す――その晴れやかなご報告をいただいたとき、私は胸が熱くなりました。「この歳になって、こんなにも幸せな日々を過ごせるとは思ってもみませんでした」。Kさまのその言葉には、諦めかけていた願いが叶った、確かな喜びがにじんでいました。

ご成婚後、Kさまの休日は大きく変わりました。これまで一人で楽しんでこられた野球観戦や旅行が、今では奥さまと二人で分かち合う何よりの楽しみに。「同じ時間を、隣で一緒に楽しめる人がいる。それだけで、毎日がこんなにも豊かになるんですね」と、しみじみ語ってくださいました。

ここで、営業職の方の婚活について少しお話しさせてください。日々多くの人と接している方は、コミュニケーションに長けている一方で、「仕事の顔」と「素の自分」を切り替えるのが上手すぎて、かえって本音を見せるのが苦手なことがあります。Kさまにも、その傾向がありました。私がお願いしたのは、お相手の前では営業トークを封印し、等身大の自分をそのまま出していただくこと。取り繕わない姿こそ、生涯の伴侶に安心を与えるからです。Kさまは、そのお願いを素直に受けとめてくださいました。

また、長く一つの仕事を勤め上げてこられたという事実は、それ自体が大きな信頼の証しです。国際結婚では、お相手の女性やそのご家族にとって、安定した生活基盤と誠実な人柄が何よりの安心材料になります。三十年以上、地元で真面目に働いてこられたKさまの歩みは、どんな言葉よりも雄弁に、その信頼性を物語っていました。

人と接するお仕事を長く続けてこられた方こそ、その誠実さは必ず伴侶に伝わります。相手を思いやる気持ちは、国境も、言葉の壁も越えていきます。Kさまのご成婚は、そのことを静かに教えてくれました。「もう遅い」と諦めかけている方に、Kさまの歩みが、そっと勇気を届けてくれますように。お二人のこれからに、心からの祝福を送ります。